少し前の話になってしまいますが、3月9日に「ソーシャルメディアサミット2012」ブログレポーター枠として、Fans:Fansのご招待で参加しました。
自分にとっては壮大な勉強会と言った感じで、次々に出てくる大物パネラーのお話を必死にメモをとりながら、「うーん」と頷いたり、頭の中でかみ砕いたり。ソーシャルメディアの奥深さや今後の進展、そして危惧しなければならないことを考えさせられました。
ソーシャルメディアバブルを解消するには?
「ソーシャルメディアサミット」なのに初っ端からなんともネガティブなお話。最近では寝ても覚めてもソーシャルメディアになっているようで、話題性としてはこれからかなりホットなものになっていくような反面、いわゆる「流行語」のように一時的に爆発的に流行って、どんどん尻すぼみになっていく「バブル」のような状態になるのではという危惧、そんなことを冒頭で説明していただきました。このメインテーマを念頭に置いた上で、パネルディスカッションを聞いてみました。
ソーシャルメディアの弱点とは?
1つめのディスカッションテーマは「ソーシャルメディアの弱点とは?」パネリストは、スケダチ代表取締役の高広氏、電通関西支社の中尾氏、博報堂DYメディアパートナーズの森永氏でした。
お話を聞いて興味深かった点を要約すると、
- ソーシャルの良いところ「良貨が悪貨を駆逐する」(反例:食べログのやらせ事件など)
- また、個人の熱い思いを簡単に伝えることも出来るのも利点(例:マジすか学園のWikipediaページ)
- ソーシャルが既存のメディアを吸収するようなことを言われるが、ソーシャルにも弱点がある。
- なんといっても胡散臭い。情報の信頼性はとにかく低い
- 2択議論になってしまって、発展しづらい(ソーシャルメディアvs●●)
- 意外と村化・蛸壺化しやすい
- 運営側も属人化しやすい
村化・蛸壺化のお話にもっとも興味をもちました。テレビや新聞のマスメディアは広く多くの人に情報を発信できるけれど、ソーシャルメディアは学校内の噂話のように限られたグループのなかで広がっていくことが多い。それをうまく利用して、蛸壺化した小さなサークルを繋げるような工夫をすることに粉塵爆発のようなよって大きな効果を生むことができる。
話題として面白かったのは電通関西支社の中尾さんのお話。中尾さんはAKB48とアイスの実のコラボレーション企画「江口愛実」の仕掛け人だそうで、「江口愛実」の舞台裏を語ってくれました。この場合、先ほど言った現象が顕著に見られて、まず情報番組にとにかく情報をばらまいて。マスメディアに広めた情報とは別に、CG合成を臭わす内容を企画に散りばめておく。そうすることによって、ソーシャルメディア上の小さな村で盛り上がっていったそうです。
ソーシャルメディアにおける広告的効果測定のあるべき姿
2回目のパネルディスカッションは、アディダスジャパンの津田氏、サントリー酒類の室元氏、東急ハンズの長谷川氏が登壇されました。
この3人の中で、終始会場を沸かしてくれたのは東急ハンズの長谷川さんでした。冒頭の「マーケティングにおけるソーシャルメディアの役割はどのように位置づけているか」という質問に対して、「1個がどれだけ売れようとあまり全体には意味が無い」「(東急ハンズの)ECの売上げは全体のたった1%、余計何それ?って感じ」とかなり過激な発言が多かったです。けれど、逆にまだまだ効果が出ていないのならば、何をやっても全体に影響を及ぼさないのだから色々なことにチャレンジした方が良いなど、かなり前向きなことも言っていました。
あと、サントリー酒類の場合のお話も面白く、あえて宣伝対象のセグメントを小さくする優位点を挙げていました。例に出ていたのは、トリスのハイボールで、あえて個々の飲食店やブロガーに売り込んでいって、業務用のトリスハイボール発売から家庭用の発売までのマスメディアによる宣伝のうてない期間を生き残ったそうです。
コミュニケーションやエンゲージメント価値の測り方
3回目は、花王の板橋氏、ANAの高柳氏、DELLの千歳氏が登壇され、「コミュニケーションやエンゲージメント価値の測り方」についてディスカッションしました。
圧倒されたのは、花王の情報整理の仕方とそれの活かし方でした。花王の「ピカママコミュニティー」を例に、花王がソーシャルメディアで得た情報をどのように分析し考察したか、そしてどのように活用したかをスライドで紹介されたのですが、その細かさには会場全体がどよめきました。
「エンゲージメント価値を上司や他部署にどう理解してもらう?」という話題では、花王のような大企業だと「社内環境整備が大変」、ANAだと「不定期にミーティングを行うことによって説得」、DELLだと「もともと顧客とコミュニケーションをする文化があるので直接的問題は無かった」とまさに三「社」三様のお話が聞けました。
企業がメディア化、ウェブサービス化する未来
最後のパネルディスカッションは、チームラボ代表取締役の猪子氏、PARTYの中村氏、トヨタマーケティングジャパンの平野氏で「企業がメディア化、ウェブサービス化する未来」を中心に展開していきました。
ここまでのパネルディスカッションでは、どちらかというと広告とかマーケティングといった観点からのお話が多かったのに対して、最後のディスカッションはいわゆるクリエイターの観点からソーシャルメディアを利用してのこれからの未来像を語っていました。
話の中心としては、「メディアやアプリ開発の提案でどのように社内の理解を得るのか?」ということで、アプリなどの開発者と企業側との関係が多く取り沙汰されて、「面白いはずなのに、理解を得られない」「事前に説明しておくと企画がつぶされるから、直前に出す。スタンドプレーでやるのではなく、チームでプロでもっていく」などかなり現場に近い意見が飛び出しました。
今後、ソーシャルメディアになれていったり、慣れてきた世代が企業側にも増えていくことによってこの辺の理解関係も変わってくるかも知れないと感じるセッションでした。
最後に
パネルディスカッションが終わると、Fans:Fansの運営会社である「アジャイルメディア・ネットワーク」の5周年記念パーティでした。そこでは今年度が最後となる「アルファブロガーアワード2011」の発表会もあり、かなり豪勢なパーティとなりました。
「アルファブロガー・アワード2011」は新しい面白いブロガーおよびブログを発掘していこうという理念の元にはじまったイベントで、2004年から毎年リスト化をしていて今年は19名のブロガーが追加され、累計117名にも昇るそうです。
自分は全然情報を知らなかったのですが、いつも拝見させていただいている「Webクリエイターボックス」や「phpspot開発日誌」「ネタフル」なども過去に受賞されていました。
どのブログも更新率・内容共々、このブログが足下にも及ばない大御所ばかりですが、そんな大きな発表会の場にいられて、ちょっと大物気分を味わうことができました。
じわじわとアクセス数も増えていますが、自分も受賞されたブロガーの方のように有益で人気な記事が書けるように精進したいと思います。
■AMNプレスリリース:8年の集大成、117ブログの「アルファブロガー・リスト」を公開